プログラマーの仕事は将来なくなると聞いて、不安を感じる方が多くいます。ITスキルを学ぼうとしている方にとって、プログラマーの仕事がAIに取って代わられる可能性は大きな不安材料です。この記事では、プログラマーの仕事がなくなると言われる理由や実際にはプログラマーの需要が増えている理由について解説します。
記事を読めば、AI時代においても価値あるプログラマーになるためのキャリアパスがわかります。プログラマーの仕事は、完全になくなるわけではありません。高度な問題解決能力と創造性を持ったIT人材の需要は増加していきます。
プログラマーの仕事がなくなると言われる理由

プログラマーの仕事がなくなると言われる理由は、以下のとおりです。
- AIの進化
- ノーコード・ローコード開発ツールの普及
- オフショア開発の一般化
AIの進化
AIの進歩により、プログラミングの世界は変わりつつあります。大規模言語モデル(GPT-4やGoogle Bard)の登場で、コード生成が飛躍的に向上しました。GitHub CopilotやAmazon CodeWhispererなどのツールは、自然言語からコードへ変換できます。
AIはWebサイトを自動で作成したり、過去のコードから学んで最適な方法を提案したりできます。画像や音声認識AIとの連携により、多機能な開発支援も可能です。
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ノーコード・ローコード開発ツールの普及

ノーコード・ローコード開発ツールは、プログラミングの知識がなくてもアプリを開発できる環境として急速に普及しています。BubbleやWebflow、Adaloなどが代表的なツールです。大手企業の参入により、市場規模は2023~2028年にかけて年平均28.1%の成長が予測されています。
2025年には、アプリ開発の70%以上がローコードツールで行われる見通しです。開発ツールの普及による変化は、以下のとおりです。
- 非エンジニアがシステム開発に参加
- 機能実装が自動化
- ツールの拡張性が向上
- ビジネス部門でのツール活用が増加
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オフショア開発の一般化
人件費削減のため、開発業務を人件費の安い海外企業やエンジニアに委託するオフショア開発が一般的になっています。インドや中国、東南アジア諸国などがオフショア開発先として台頭しています。日本企業においてもオフショア開発は加速しており、単純なコーディング業務の国内需要は減少傾向です。
オフショア開発が一般化した背景は、以下のとおりです。
- リモートワークツールの発達
- クラウドサービスの普及
- オンライン翻訳ツールの進化
- 海外エンジニアの技術レベル向上
- 時差を活用した24時間開発体制の実現
- グローバル人材の台頭
プログラマーの仕事がなくならない理由

プログラマーの仕事がなくならない理由は、以下のとおりです。
- AIでは代替できない業務が存在するから
- 自動化には限界があるから
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AIでは代替できない業務が存在するから
判断力や創造性が求められる業務は、AIでは簡単に代替できません。ビジネス課題を技術でどう解決するかは、現在のAI技術では対応が難しい分野です。倫理的判断や価値観にもとづく意思決定、複雑なシステム開発への対応、関係者との信頼関係構築も人間ならではの強みです。
AIツールを使う際でも、使用方法や結果の評価には専門知識を持った人間の判断が求められます。高度なシステム設計や細かな脆弱性の発見、セキュリティリスクの総合的な判断も、AIでは代替できません。
自動化には限界があるから
プログラミングの世界では自動化が進んでいますが、以下の業務では今後も人間の力が必要です。
- 仕様変更への対応
- ビジネス要件と技術実装の橋渡し
- システム統合の互換性問題
- 古いシステムの保守や改修
- 予期せぬバグやエラーへの対応
- プロジェクト管理
プログラマーの需要が増える理由

プログラマーの需要が増える理由は、以下のとおりです。
- IT業界の人材が不足しているから
- デジタル化が進展しているから
- 新技術の開発とメンテナンスが必要だから
IT業界の人材が不足しているから
IT人材は世界中で不足しており、日本でも2030年までに約79万人が不足する見込みです。人材不足の背景にはDXの推進(※1)により、クラウドやセキュリティ、AIの専門家の需要が急増していることが挙げられます。技術の進化が速すぎて教育が追いつかず、少子高齢化の影響で若手IT人材が不足しています。
リモートワークの普及により、世界中の企業がIT人材を奪い合う状況です。新興国でもデジタル化が進み、IT人材の需要は世界規模で拡大しています。IT業界の離職率の高さも、人手不足に拍車をかけています。
※1 DXの推進とは、ITやデジタル技術を活用して、ビジネスの仕組みや働き方を大きく変える取り組みのことです。
デジタル化が進展しているから

世界中でデジタル化が進み、プログラマーの需要が高まっています。デジタル化が加速している要因は、以下のとおりです。
- コロナ禍の影響
- IoT(※2)の普及
- 通信技術の進化
- クラウドサービスの一般化
- 新しいデジタル領域(メタバースやWeb3.0)の発展
デジタル化による生産性向上は国や企業の競争力に直結するため、今後も継続的な投資が行われると予測されます。
※2 IoT(インターネット・オブ・シングス)とは、物や機器がインターネットを通じてデータをやり取りできる技術です。スマート家電や車両などが例です。
新技術の開発とメンテナンスが必要だから
技術が進化し続ける限り、新しい技術を開発・維持する専門家が不可欠です。AIや5G、IoT、ブロックチェーン、クラウドの開発需要が増加しており、実用化のためには専門知識を持つ人材が必要です。システムは一度作れば終わりではなく、継続的な改善やメンテナンスが求められます。
多くの企業がデジタル化を進める中で、新しいシステムの開発ニーズが拡大しています。業界特化型の専門システム開発には、専門知識とプログラミングスキルの両方が必要です。グローバル展開するシステムの多言語対応やクラウドネイティブアプリケーションの開発・移行が進んでいます。
サステナビリティ技術関連の新システム開発の需要も増えています。
仕事がなくならないプログラマーに必要なスキル

仕事がなくならないプログラマーに必要なスキルは、以下のとおりです。
- 問題解決能力
- 創造性
- コミュニケーション能力
- 情報収集能力
問題解決能力
問題解決能力を持つプログラマーは、以下の力を備えています。
- 論理的思考力
- 判断力
- 思考力
- 応用力
- チームワーク力
問題解決能力を高めるには、コードを書く練習や実際のプロジェクトを通じた経験が大切です。AIが進化しても、複数の技術やツールを組み合わせて新しい解決策を生み出せるプログラマーの重要性は変わりません。
»プログラミングに向いている人の特徴とプログラマーになる方法を解説
創造性

AIが定型的なコード生成を担うからこそ、人間ならではの独自の発想が重要です。創造性が必要で、AIが代替できない業務は、以下のとおりです。
- ユーザー体験を向上させる革新的なデザイン
- 既存システムの改善アイデア
- 異なる技術やツールの組み合わせ
チームの中でアイデアを出し合い、他のメンバーの視点を引き出す力も必要です。市場を先読みして新しいサービスを生み出す力は、プログラマーとして一段上を目指す鍵です。創造性を鍛えるために、日常的に異なる分野の知識を取り入れたり、新しい発想法を学んだりしましょう。
コミュニケーション能力
プログラマーとして活躍するためには、チームメンバーや顧客との意思疎通や技術的内容の説明能力、ヒアリングスキルが必要です。海外で就職を目指す場合、英語力に加え、異なる文化や背景を持つ人々と協力するスキルも求められます。
技術的な議論の場面では、論理的に自分の意見を主張できる能力やプロジェクト提案力、プレゼンテーション能力が必要です。他の人が作ったプログラムにアドバイスしたり、知識を共有したり、わかりやすく整理したりする力は、仕事の質を向上させます。
情報収集能力

常に最新の技術を把握していることで、変化の早いIT業界でも市場価値を保てます。情報収集能力を高めるために意識したい行動は、以下のとおりです。
- 技術ブログやフォーラム、GitHubの定期チェック
- 英語の技術文書の理解力強化
- 海外開発者コミュニティへの参加
- 技術カンファレンスやウェビナーの活用
- 効率的な検索スキルの向上
情報収集能力はすぐに身に付くものではありませんが、日々の小さな努力の積み重ねで確実に向上します。
仕事がなくならないプログラマーになる方法

仕事がなくならないプログラマーになる方法は、以下のとおりです。
- 需要の高いプログラミング言語を学ぶ
- 最新技術の情報を継続的に学習する
- AIや自動化ツールを扱えるスキルを身に付ける
需要の高いプログラミング言語を学ぶ
海外で働くためには、需要の高いプログラミング言語の習得が重要です。適切な言語選びにより、就職の可能性が広がります。海外で人気のプログラミング言語は、以下のとおりです。
- Python
- JavaScript
- TypeScript
- Go言語
- SQL
Pythonは初心者にも学びやすく、多くの企業が採用しているため、海外就職を目指す方には最適な選択肢と言えます。北米ではJavaScriptやPython、ヨーロッパではJavaやC#の需要が高い傾向です。アジア圏ではモバイルアプリ開発言語(SwiftやKotlin)も重視されます。
言語選びの際は、自分の興味ある分野や将来働きたい国や地域の求人情報を調査することが大切です。
最新技術の情報を継続的に学習する

プログラマーは新しい技術やツールに関する知識を更新し続けることで、市場価値を維持できます。専門サイトを確認したり、業界のニュースレターを購読したり、技術カンファレンスへ参加したりしましょう。プログラミング関連のポッドキャストやGitHub Trendsの活用も有効な学習方法です。
実践的なスキルを磨くためには、オンライン学習で最新コースを受講するのが効果的です。短期間でプロジェクトを完成させるイベントや技術コミュニティへの参加も検討しましょう。
AIや自動化ツールを扱えるスキルを身に付ける
AIや自動化ツールをうまく活用できれば、作業効率が大幅に向上し、より価値の高い業務に集中できます。ChatGPTやGitHub Copilot、JasperAIなどの基本的なAIツールの習得から始めましょう。AIツールを最大限に活用するためには、以下のスキルを身につけることが重要です。
- プロンプトエンジニアリング技術
- AIが生成したコードの理解と修正
- AIと人間の役割分担の理解
ZapierやIFTTT、Makeなどの自動化ツールやRPAの知識を習得すると、単調な作業から解放されます。自動テストやデプロイを行うCI/CDツールの設定・管理スキルも価値があります。
仕事がなくならないプログラマーのキャリアパス

仕事がなくならないプログラマーのキャリアパスは、以下のとおりです。
- AIエンジニアにキャリアアップする
- 上流工程のスキルを身に付ける
- フリーランスや起業を視野に入れる
AIエンジニアにキャリアアップする
AIエンジニアになるには、基礎からしっかり学び、計画的にスキルアップすることが必要です。スキルを積み上げるために効果的なステップは、以下のとおりです。
- Python言語
- 機械学習や深層学習の基礎理論
- 各種AIフレームワーク
- データサイエンスの基礎
- データ前処理手法
実践経験を積むために、オープンソースプロジェクトやAI関連のイベントに参加しましょう。AWSやGoogle Cloud、Azureなどのクラウドプラットフォームを習熟することも重要です。海外の情報やAIコミュニティとの交流を深めるため、英語力の向上も欠かせません。
AWS Machine LearningやGoogle Professional ML Engineer取得も有効です。AIの倫理や社会的影響についての理解を深めることも、長期的なキャリア形成に役立ちます。
上流工程のスキルを身に付ける

ビジネス要件を理解して設計する能力は、簡単にAIに代替されることはありません。上流工程のスキルを身に付けるには、以下の知識と経験が大切です。
- 要件定義や基本設計
- ビジネス要件の変換能力
- プロジェクトマネジメント
- コミュニケーション技術
- システムアーキテクチャ
- データモデリング
- ヒアリング能力
業界知識やチームマネジメント、リーダーシップのスキルも重要です。予算管理や工数見積もりなどのビジネススキルも、上流工程を担当するエンジニアには欠かせません。システム設計段階からセキュリティを考慮する「セキュリティ・バイ・デザイン」の考え方を身に付けることも重要です。
上流工程のスキルを習得するには、実際のプロジェクトで経験を積むことが有効です。基礎知識を学ぶには、書籍やオンライン講座を活用しましょう。
フリーランスや起業を視野に入れる
技術力に応じて高単価な案件を獲得できるのが、フリーランスや起業家として活動するメリットです。英語力を活かせば、世界中のクライアントと取引できます。フリーランスとしては、UpworkやFiverrの活用、特定業界向けソリューションの提供など、多様な働き方が可能です。コンサルティングも選択肢の一つです。
起業を視野に入れる場合は、SaaS開発やアプリ開発など、自社サービスを立ち上げるチャンスもあります。海外市場をターゲットにしたビジネスも可能です。フリーランスや起業家として成功するには、交渉力やプロジェクト管理能力、マーケティングスキルなども求められます。
複数の収入源を確保することで、安定したキャリアを築けます。
まとめ

プログラミングの一部は自動化されつつありますが、創造的な問題解決能力を持つプログラマーは今後も価値を保ち続けます。IT人材不足とデジタル化の進展により、プログラミングスキルを持つ人材の需要は拡大しています。単なるコーディングスキルだけではなく、コミュニケーション能力や情報収集能力も重要です。
需要の高いプログラミング言語の習得や最新技術の継続的な学習も欠かせません。プログラマーのキャリアパスとしては、AIエンジニアへの転向や上流工程へのシフト、フリーランス独立など、多様な選択肢があります。