プログラミングに数学は必要?活用される5つの分野と苦手な人でも学べる方法を解説

プログラミングを学習したくても、数学の知識が必要だと聞いてためらう人が多くいます。しかし、プログラミング学習に必ずしも数学の知識が必要とは言えません。この記事では、プログラミングにおける数学の必要性や活用される分野、役立つ知識、苦手でも学べる方法を解説します。

記事を読めば、数学が苦手な人でも自信を持ってプログラミング学習を始められます。プログラミングには、高度な数学よりも論理的な考え方が重要です。考え方を学び、プログラミング学習に挑戦できる自信を身に付けましょう。
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目次

プログラミングにおける数学の必要性

プログラミングにおける数学の必要性を以下に紹介します。

  • 多くのプログラミング分野で数学の知識は不要
  • プログラミングと数学の関係性

» プログラミングの基礎から応用まで徹底解説!

多くのプログラミング分野で数学の知識は不要

多くのプログラミング分野では、高度な数学的知識は必要ありません。基本的な四則演算(足し算・引き算・掛け算・割り算)が理解できていれば十分です。プログラミングの本質は、論理的思考とアルゴリズムの構築にあります。数学の得意・不得意よりも、問題を分解する力や試行錯誤をいとわない姿勢の方が重要です。
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多くの現役プログラマーも、複雑な数式はほとんど使用しません。近年は、プログラミング言語や開発ツールが進化しており、簡単に数学的な処理が実装できる環境が整っています。特定の数学的知識が必要になった場合でも、都度学び直すことで解決できます。

プログラミングと数学の関係性

プログラミングと数学は、論理的思考を必要とする点で共通しています。プログラミングでは、アルゴリズムの設計やデータ構造の理解、効率的なコードの記述などに、数学的な考え方が役立ちます

数学とプログラミングが結びつく場面は、以下のとおりです。

  • 問題解決のアプローチ
  • 抽象化の概念
  • プログラムのデバッグ

数学の知識が深まるほど、高度なプログラミングスキルを身に付けやすくなります。

数学が必要なプログラミング分野

数学が必要なプログラミング分野は、以下のとおりです。

  • ゲーム開発
  • AI開発
  • データサイエンス
  • 画像処理
  • 暗号技術

ゲーム開発

ゲーム開発では3Dグラフィックスや物理シミュレーションなど、多くの要素に数学的な知識が必要です。各分野で使われる数学の種類を理解すると、効率良く開発に携われます。以下は、ゲーム開発において数学が活用される分野の例です。

活用分野使用される数学
3Dグラフィックス線形代数
物理シミュレーション線形代数
微分方程式
キャラクターの動き三角関数
幾何学
パーティクルシステム微分方程式
ゲームAI確率論
統計学

ゲーム開発の現場では役割分担が明確にされており、デザインやシナリオ、UI設計など、数学以外のスキルも求められます。数学が不得意でも、自分の得意分野を活かしてゲーム開発に携わることは可能です。
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AI開発

AI開発では機械学習アルゴリズムやニューラルネットワークの設計、最適化などの知識が必要です。AI開発には、以下のスキルも求められます。

  • 確率統計
  • 線形代数
  • 微分積分学
  • 数理最適化
  • ベイズ推論
  • 情報理論

数学の知識があると、AIモデルの構築や挙動の解釈に役立ち、精度の高いシステム開発に携われます。数学が苦手な場合は機械学習の基礎から始め、オンライン講座や書籍を活用しながら、段階的に理解を深めましょう。
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データサイエンス

データサイエンスはデータの収集や分析、解釈を通じて有益な知見を引き出す分野であり、数学的な知識が欠かせません。求められる数学の知識は、統計学や確率論、線形代数などです。数学は数値の傾向を把握したり、分析の正確性を高めたりするのに役立ちます。

機械学習アルゴリズムの理解やビッグデータの処理、予測モデルの構築、数値の可視化にも数学の知識が必要です。多変量解析などの高度な分析手法を使う場面も多く、数学の知識とプログラミングスキルを組み合わせる能力が求められます。

数学に強い人にとってデータサイエンスは力を発揮しやすく、興味を持って取り組みやすい分野です。

画像処理

画像処理では線形代数やフーリエ変換、確率統計などの知識が求められます。高度な処理や独自のアルゴリズムを構築する場合、理論的な知識が開発の精度や効率を左右します。以下は、画像処理で活用される数学です。

活用場面使用される数学
色調補正
明るさの調整
行列演算を含む線形代数
フィルター処理
画像圧縮
フーリエ変換
エッジ検出
認識
ベクトル演算
歪み補正射影幾何学
ノイズ除去確率論
統計学

既存の画像処理ライブラリを活用すると、複雑な数式を使用せずに基本的な処理を行えます。コンピュータービジョンやAI開発の分野で応用の幅を広げるために、数学の基礎を身に付けましょう。数学的な理解があれば、技術の本質を捉えた創造的な開発が可能です。

暗号技術

暗号技術は送信するデータを暗号化し、第三者による盗み見や改ざんを防ぐ技術です。暗号技術は、インターネット通信の安全性を確保するTLSやデジタル署名、ブロックチェーンなどに活用されています。代表的な暗号方式は以下のとおりです。

  • 公開鍵暗号方式
  • 秘密鍵暗号方式
  • ハッシュ関数

暗号化の仕組みを理解するには、数論や代数学などの数学の知識が不可欠です。近年では、量子コンピューターによって従来の暗号が破られる可能性が指摘されています。

プログラミングで役立つ数学の基礎知識

プログラミングで役立つ数学の基礎知識は、以下のとおりです。

  • 四則演算
  • 座標系
  • 条件式
  • 時間計算

四則演算

四則演算はプログラミングの基礎となる計算処理で、数値を操作したり、条件を判断したりする際に使用されます。プログラミングでは、四則演算の表現に演算子を使用します。演算子の表記方法は、以下のとおりです。

  • +:足し算
  • -:引き算
  • *:掛け算
  • /:割り算

四則演算を使う際には、演算の優先順位に注意が必要です。一般的に、括弧内の計算が最優先され、次に掛け算・割り算・足し算・引き算の順で処理されます。整数同士の除算は結果が小数にならず切り捨てられる場合があるため、小数点を扱う場合は型の指定が必要です。

四則演算の挙動は言語ごとに異なるため、使用しているプログラミング言語の仕様を把握しておくことが大切です。四則演算を正しく使いこなせると、複雑な数値処理やアルゴリズムの構築にも取り組めます。
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座標系

座標系は、ゲーム開発や画像処理などの分野で重要な役割を果たします。画面上の位置や動きを数値で正確に表現できるため、グラフィックスの制御やアニメーションの作成に座標系は必須です。座標系の種類は以下のとおりです。

2次元座標系
x軸とy軸の2本の軸で構成され、平面上の位置を表すのに使われます。
3次元座標系
x軸とy軸、z軸の3本の軸で構成されており、立体空間での位置や動きを表現します。

座標系の概念を理解すると物体の移動や回転、拡大、縮小などの操作を行えるため、複雑な視覚効果の実装に対応可能です。

条件式

条件式は、プログラムの実行内容に応じて切り替える要素です。特定の条件を満たしたときだけ処理をしたり、合わない場合には別の動きに切り替えたりできます。記述方法は「if文」が基本です。if文で「年齢が20歳以上であれば成人です」と条件を付ける場合は「if(年齢>=20){成人です}」と表記します。

条件が満たされなかった場合は「else文」を、複数の条件を順番に判定したい場合は「elseif文」を使用します。条件式の中では、数値や文字列などの比較に使う比較演算子や、複数の条件を組み合わせる論理演算子が効果的です。

時間計算

時間に関する計算は、多くのプログラムやアプリケーションに必要な処理です。日常的な機能であるアラームやスケジューラー、データ記録など、あらゆる場面で正確な時間計算が求められます。プログラミングにおいても、時間に関する基本的な処理を理解する必要があります。

プログラミングの時間計算で扱う処理は、以下のとおりです。

時間の単位変換
秒や分、時間、日などの単位を相互に変換します。
タイムゾーンの計算
世界中のさまざまな地域の時差を考慮し、現地時間を正確に取得します。
経過時間の計算
イベントの開始時刻と終了時刻の差から所要時間の算出が可能です。
日付の加算・減算
基準となる日付から前後の日付を求められます。

国際的なプロジェクトに参加する場合は、日本と他国の時差を把握しなければ、会議の設定や通知時間にズレが生じます。日付の加算・減算を正確にすることで、適切に予約管理や有効期限の計算などが可能です。

数学が苦手でもプログラミングを学ぶ方法

数学が苦手な人がプログラミングを学ぶ方法は、以下のとおりです。

  • プログラミングの論理的思考を鍛える
  • プログラミングスクールに通う
  • オンライン講座を活用する

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プログラミングの論理的思考を鍛える

プログラミングの論理的な考え方を身に付けると、複雑な問題が効率的に解決できます。一朝一夕で論理的思考は身に付きませんが、日々の積み重ねによって確実に向上します。実践を通じてプログラミングの論理的思考を習得すると、より正確で効率的なコードの記述が可能です。

プログラミングの論理的思考を養う方法は、以下のとおりです。

  • 問題を小さな単位に分解して整理する
  • フローチャートやアルゴリズムを図式化する
  • 論理パズルや思考ゲームで頭を鍛える
  • デバッグ作業から原因を追求する
  • 他人のコードを読んで構造や意図を理解する

プログラミングコンテストやオープンソースプロジェクトに参加すると、実践的な論理的思考を磨けます。
» 自信が持てる!プログラミングコードの基本と実践的な練習方法

プログラミングスクールに通う

プログラミングスクールに通うと基礎から応用まで体系的に学べるため、効率的にスキルを習得できます。カリキュラムは実践的な内容が中心で、プログラミングスクールは現場に即した学びを得られる点が魅力です。

以下のポイントも、プログラミングスクールに通うメリットです。

  • 経験豊富な講師からの指導
  • 実践的なプロジェクト経験
  • 他の受講生との交流
  • 最新技術やトレンドを取り入れた学習内容
  • 就職支援サービスの充実

プログラミングスクールは集中して学習に取り組める環境が整っているため、わからない部分は講師に質問できます。独学に比べて理解が深まりやすい点もプログラミングスクールのメリットです。
» 失敗しないプログラミングスクールの選び方

オンライン講座を活用する

オンライン講座は自宅で好きな時間に取り組めるため、仕事や家事で忙しい人でも無理なく続けられる学習方法です。会話ができるコミュニティ付きのオンライン講座を選ぶと、理解が深まりやすくなります。ライブセッションがあるオンライン講座では、リアルタイムで講師に質問できる機会を得られます。

オンライン学習サービスはUdemyやYouTube、Coursera、edXなどが代表的です。プログラミングの学習にはCodecademyやfreeCodeCampなど、無料で始められる学習サイトも人気があります。
» プログラミングを独学で効率的に学ぶ流れを徹底解説!

数学以外でプログラマーに必要なスキル

数学以外でプログラマーに必要なスキルは、以下のとおりです。

  • 情報収集スキル
  • 論理的思考力
  • コミュニケーション能力
  • 英語力
  • 継続力

情報収集スキル

IT業界は自分のスキルを更新する姿勢が求められます。情報収集スキルとして信頼性の高い情報源を見極める力や効率的な検索キーワードの選択、複数の情報源の比較検証が不可欠です。情報収集の方法は技術ブログやソーシャルメディア、技術系のフォーラム、オンラインコミュニティの活用が有効です。

勉強会やカンファレンスに参加すれば、実務に近い知見や最新のトレンドを得られます。過度な情報収集には注意が必要です。自分にとって本当に必要な情報を見極めて、取捨選択しましょう。

論理的思考力

論理的思考力は問題を的確に分析し、効率的な解決策を導き出すための能力です。論理的に考えられると複雑な問題を小さな要素に分けて整理でき、原因と結果の関係を明確に捉えられます。パターンや規則性を見つけ出したり、仮説を立てて検証したりする力も論理的思考により身に付きます

論理的思考力は以下の場面に効果的です。

  • バグの原因を特定する
  • 効率的なアルゴリズムを考える
  • 効率の良いプログラム設計を行う
  • 再現性のあるテストケースを作成する
  • 条件分岐や繰り返し処理を適切に組み立てる

論理的思考力は特別な場面だけでなく、日常生活の中でも鍛えられます。
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コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は、ITスキルや英語力と並んで海外での勤務を目指す人にとって欠かせない能力です。円滑なやり取りができれば、チーム内の連携が強まり、アイデアの共有やプロジェクトの成功につながります。国際的な職場では、文化や価値観の違いを理解し、相手の立場を尊重する姿勢が求められます。

リモートワークが広がる中で、ビデオ会議やチャットツールを活用したやり取りにも柔軟に対応する力が必要です。コミュニケーション能力に求められるスキルは、以下のとおりです。

  • クライアントや上司との明確な意思疎通
  • 専門的な内容を噛み砕いて説明する力
  • 文書作成やプレゼンテーションの表現力
  • 相手の話に耳を傾ける姿勢と適切な質問力
  • オンラインでの円滑なコミュニケーション能力

海外で働くうえでのスキルを伸ばすと、国際的なプロジェクトでも信頼される存在となり、キャリアの幅を広げられます。

英語力

IT分野では英語を用いた専門用語が多数出てくるため、英語の理解が不可欠です。プログラミングで頻出する英語表現に慣れておくと、情報の吸収がスムーズになります。英語力はプログラミング関連のフォーラムへの参加や海外チームとのやり取り、プレゼンなどの場面で活躍の場が広がります。

英語での面接や海外クライアントとの商談、オープンソースプロジェクトへの参加など、実践的な場面でも英語力は有効です。
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継続力

目標を達成するには短期間で結果を求めるのではなく、毎日少しずつ学習を続ける必要があります。継続するためには学習時間を習慣化し、自分の進捗を定期的に見直すことが効果的です。日々の中で小さな達成感を得るために、学習内容を工夫し、記録を残すことで成長の可視化が可能です。

継続力を身に付けると、困難に直面したときでも諦めずに対処する力が向上します。継続する中で自己管理能力や時間の使い方も身に付き、総合的なスキルの向上につながります。

まとめ

ほとんどのプログラミング分野では、高度な数学スキルは必要ありません。ただし、基本的な数学の知識は必要です。数学が苦手な人でも論理的思考力を鍛えると、プログラミングの習得は可能です。プログラマーには情報収集力やコミュニケーション能力、英語力、継続力などのスキルも求められます。

必要なスキルを身に付けるとプログラマーの能力が高まり、海外で就職できる機会も広がります。

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