「外資系企業で働いてみたいけど、どんな特徴があるの?」と、多くの方が疑問に感じています。就活・転職において、外資系企業と日系企業の違いを知ることは重要です。この記事では外資系企業の定義や種類、特徴を日系企業と比較して解説します。
記事を読めば、外資系企業で働くメリットとデメリットがわかり、自分に向いているか判断できます。外資系企業で働くための基本知識を身に付け、自身のキャリアプランを検討しましょう。
外資系企業とは外国資本を主とする企業
外資系企業とは、外国資本が一定以上含まれる企業を指します。具体的には日本国内に事業拠点を持ち、日本でビジネス展開している企業です。法的には日本企業として扱われますが、実質的な経営権は外国企業にあります。
資本比率に明確な定義はありませんが、資本の一部を海外企業が所有し、主要株主になっているケースがほとんどです。外国企業の社風やノウハウが導入されています。外資系企業は日本経済に多様性と活力をもたらし、新しいビジネス機会や雇用を生み出す役割を担っています。
外資系企業に就職すれば国際的なキャリアを築けるため、多くの人にとって魅力的な選択肢です。
外資系企業の種類
外資系企業には、主に以下の3つの種類があります。
- 外国企業の日本法人
- 日系企業との共同出資企業
- 外国企業が買収した日系企業
外国企業の日本法人
1つ目は、海外に本社を置く企業が、日本国内で会社を設立するパターンです。日本での活動拠点として機能し、日本市場への進出や拡大を目指します。主に日本国内での販売やマーケティング、サポート業務を担います。
日本の法律や規制に従うため、現地採用や派遣社員の割合が多い点が特徴です。本社の指示や戦略に従い、日本市場独特のニーズに対応する製品やサービスを提供します。日本国内のパートナーや取引先との関係を重視して、さまざまな国の企業が日本法人を設立しています。
日系企業との共同出資企業
2つ目は、日系企業と外国企業が共同出資して会社を設立するパターンです。双方の企業が資本を提供し、互いの技術やノウハウが共有されます。お互いの長所を活かした、国際的なビジネス展開が可能です。
日本の自動車メーカーが外国の技術企業と共同出資するケースで説明します。日本の自動車メーカーは高い製造技術を提供し、代わりに外国の技術企業は先進的なIT技術や電動化技術を提供します。お互いの技術提供により、高品質な製品を市場に出すことが可能です。
企業文化や経営スタイルの統合により、異なる視点やアイデアが取り入れられ、柔軟な経営が実現します。ただし、日本と外国の両方の法律を遵守する必要があるため、権利や義務の明確化が欠かせません。一方が経営難に陥ると、もう一方の企業も悪影響を受ける点には注意が必要です。
外国企業が買収した日系企業
3つ目は、外国企業が日本企業を買収するパターンです。日系企業の技術力や市場に魅力を感じる外国企業は多く、近年のM&Aの活性化で多くの企業が買収されています。具体的には、以下の買収事例が挙げられます。
- フランスのルノーが日産自動車を買収
- 台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)がシャープを買収
- アメリカのコルゲート・パルモリーブがカネボウを買収
特に注目されたのは、1999年にフランスのルノーが日産自動車を買収した事例です。日産自動車はルノーからの買収により経営再建を果たし、ルノーとの協業で技術交流やコスト削減も実現しました。
現在では多くの日本企業が外国企業による買収を受け、財務状況の改善に取り組んでいます。外国企業による買収は日系企業にとってチャンスでもあり、適切な戦略推進が経営改善の助けになります。
外資系企業と日系企業の比較
外資系企業と日系企業の主な違いは、以下の5点です。
- 組織文化の違い
- 働き方の違い
- キャリアパスの違い
- 評価制度の違い
- 労働条件の違い
組織文化の違い
外資系企業と日系企業の組織文化は大きく異なり、外資系企業はフラットな組織文化が特徴的です。外資系企業は効率と成果を重視する文化が根付いており、売上やプロジェクトの達成度など、具体的な成果が評価基準となります。
日系企業では、年功序列と終身雇用が一般的です。長期的な人材育成が基本であり、新卒社員は定年まで1つの企業で勤め上げるケースが多く、経験や年齢が評価に影響します。外資系企業は多様性を重視し、日系企業は協調性を重視する傾向にあります。自身に合った社風の企業を選択しましょう。
働き方の違い
日系企業では1日8時間前後の長時間労働が一般的です。一方、外資系企業ではリモートワークやフレックスタイム制度の充実により、生活スタイルに合わせた働き方が可能です。多くの外資系企業ではワークライフバランスを取りやすく、自分の能力を最大限に発揮できます。
ただし、外資系企業はチームでの仕事が多く成果主義のため、コミュニケーション能力や自主性、自己管理能力が求められます。プロジェクトごとの目標に対する成果を重視されるため、効率的に動かなければなりません。キャリアアップの機会が多い反面、社員間の競争が激しく、常に自分を磨く必要があります。
外資系企業の働き方は、日系企業と大きく異なります。外資系企業で働きたい方は、社風や特徴を理解しましょう。
キャリアパスの違い
日系企業と外資系企業ではキャリアパスも対照的です。日本では年功序列型の企業が多く、長期的に同じ会社に勤めて徐々に昇進していく流れが一般的です。組織内での経験が重視されるため 、同社内で幅広い業務に携わります。
一方、アメリカの企業の平均勤続年数はわずか4.1年です。外資系企業では転職を繰り返し、さまざまな企業で経験とキャリアを積むケースが一般的です。ポジションごとの役割が明確で、業績を評価されると数年で管理職や専門職に昇進する例も多く見られます。
» ZIPPIA(外部サイト)
日系企業では国内市場に集中している企業が多く、国内でのキャリアアップがメインです。一方、外資系企業ではグローバルな目線でキャリア形成を目指せます。スキル次第で海外転勤や国際的なプロジェクトへの参加もできる点が魅力の1つです。
» 海外転職完全ガイド
自身の思い描くキャリアパスを実現できる企業の選択が重要です。短期間での昇進や国際的なキャリアを目指すなら、外資系企業への就職が適しています。
評価制度の違い
評価制度も外資系企業と日系企業で異なります。日系企業での評価に大きく影響するのは、以下の項目です。
- 年功序列
- チームワーク
- 協調性
日系企業では勤続年数や人間関係が評価基準に含まれ、組織的な評価が大きく影響します。評価は年度末の評価面談で行われるケースが多く、長期的な貢献が高く評価される傾向にあります。一方、外資系企業では業績ベースの評価が主流です。以下の項目が主な評価基準となります。
- 個人の目標達成度
- 成果に対する評価
- 売上目標の達成率
- プロジェクトの貢献度
外資系企業では個人の目標達成度や成果が評価の中心であり、売上目標への到達やプロジェクトの成功が直接の評価対象です。外資系企業では評価が明確に示されるため、キャリアアップを目指す社員のモチベーション維持に役立ちます。評価の透明性が高く、頻繁なフィードバックを受けられる点が特徴的です。
日系企業と外資系企業の評価制度の違いを知ると、自身に合った企業を選びやすくなります。
労働条件の違い
外資系企業と日系企業では、労働条件に大きな違いがあります。日系企業では厚生年金や退職金などの福利厚生が充実している反面、固定労働時間制による長時間労働が一般的です。残業も多く、ワークライフバランスが取れていない企業も多く見られます。
一方、外資系企業ではフレキシブルな労働時間やリモートワークの導入率が高く、比較的自由な働き方が可能です。キャリア採用が多いため、自身の得意分野で仕事をしやすく、モチベーションを高く保てます。有給休暇の取得率が高く、プライベートな時間の確保も容易で、健康管理にも効果的です。
外資系企業は日系企業のような労働組合による影響が少なく、雇用契約をいつでも解消できます。安定した雇用を求める人には不向きですが、チャレンジ精神があり、スキルを活かして高報酬を得たい人には魅力的な選択肢です。
外資系企業の特徴
外資系企業の特徴は、以下の5つです。
- 即戦力が求められる
- 個人の業績が重視される
- 年収が高い
- 上下関係がフランク
- ワークライフバランスが取りやすい
即戦力が求められる
外資系企業では即戦力が求められ、採用条件においても同業種で3年以上の業務経験を必要とするケースが多く見られます。短期間で結果を求められるため、経験やスキルへの要求レベルも高いです。具体的に求められる経験やスキルは、以下のとおりです。
- 専門的な知識と実務経験
- 迅速な問題解決能力
- 高いコミュニケーション能力
十分なスキルがあれば、即時に適応して成果を出せます。外資系企業では自律的かつ主体的な業務進行を求められるため、徹底したプロ意識があれば評価を高められます。
新規採用時は、チームへのアプローチ期間がとても短い点に注意してください。新しい環境や仕事に素早く適応する柔軟性も求められるため、総合的な能力が必須です。
個人の業績が重視される
外資系企業では個人の業績が重視されます。アメリカや中国企業では成果主義が基本であり、個人のパフォーマンスが直接評価に反映されます。チームプレイよりも個人の評価が重視されるケースが多いです。数値目標は明確に設定されます。
年次評価よりもプロジェクト単位での評価が多い傾向にあり、常に高いパフォーマンスが求められます。自己管理をしっかりと行い、自身の成果やスキルをアピールする能力も重要です。成果を上げ続けると大幅な昇進や昇給が期待できるため、積極的に業務をこなせる人に向いています。
ただし、外資系企業は成果に基づく報酬形態が一般的で、社員間の競争が激しいです。成果を出せない社員は解雇されます。安定雇用を求める人には、不向きです。
年収が高い
外資系企業は日系企業より年収が高い傾向にあります。理由は以下のとおりです。
- 基本給の高さ
- インセンティブ(成果報酬)の充実
- ストックオプション・株式報酬
外資系企業は国際基準に基づいて給与を定めており、日本の給与水準よりも基本給が高いです。成果報酬もあるため、パフォーマンスを発揮するほど収入を増やせます。ストックオプションや株式報酬が設定されるケースも多いです。自社株のインセンティブは収入に大きく影響します。
外資系企業は成果主義で昇進や昇給が早く、個人の頑張りにより大幅な収入増が可能です。業務に意欲的で、高年収を目指したい人におすすめです。
上下関係がフランク
外資系企業は上下関係がフランクな職場が多く、社内での積極的なコミュニケーションが求められます。上司と部下でも自由な発言が奨励されており、意見交換しやすい点が特徴的です。外資系企業では一般的に、役職に関係なくファーストネームで呼び合います。
信頼関係重視で、結束力を高めるための社内イベントや交流会も盛んです。フランクな上下関係は、成果重視の外資系企業ならではの特長と言えます。
ワークライフバランスが取りやすい
外資系企業では、ワークライフバランスが取りやすいです。さまざまな働き方を実現するために、以下のような制度が整っているからです。
- フレックスタイム制度
- リモートワーク
- 休暇取得の推奨
- 労働時間の自己管理
- 健康管理とメンタルケア
フレックスタイム制度やリモートワークは、多くの外資系企業で導入されています。フレックスタイムを導入する企業では、子どもの送り迎えの時間などに合わせて勤務時間の調整が可能です。リモートワークでは通勤時間を省略でき、浮いた時間を自己投資や休息に充てられます。
企業によっては休暇取得が勧められる文化や、健康管理やメンタルケアを会社で補助してくれる制度があります。成果重視で時間に縛られない外資系企業の働き方は、効率良く仕事をしたい人に最適です。
外資系企業で働くメリットとデメリット
外資系企業での勤務には、数多くのメリットとデメリットがあります。それぞれ詳しく解説します。
外資系企業で働くメリット
外資系企業で働くメリットは以下のとおりです。
- 高収入
- 英語力が向上
- キャリアパスの幅広さ
- 柔軟な働き方
- 充実した研修
- 自由な社風
一番のメリットは年収が高いことです。外資系企業は報酬体系が明確で、支払われる額も契約時点で決まります。個人の成果が評価されやすくインセンティブが出るケースも多いので、優秀な人材は日系企業よりもはるかに多くの収入を稼げます。
英語力の向上も大きなメリットです。外資系企業では基本的に外国人とのコミュニケーションが必須で、自然と語学力が鍛えられます。仕事を通じて英語力が飛躍的に向上するため、今後のグローバルな活動にも役立ちます。柔軟な働き方で研修も充実しているため、福利厚生面でも安心です。
外資系企業はワークライフバランスを重視する傾向にあり、効率良く働き方を第一としています。計画的な業務遂行により、自身のライフスタイルを遵守した働き方が可能です。自由な社風や雰囲気も魅力的です。外資系企業は上下関係がフランクで、意見を自由に言える環境が確保されています。
新しいアイデアや提案は尊重され、積極的な発言も歓迎されます。外資系企業は、自分のスキルを高めて収入を上げたい人や、自由な働き方を求める人におすすめです。
外資系企業で働くデメリット
外資系企業には、デメリットも存在します。以下5つのデメリットを理解した上でキャリアプランを検討しましょう。
- コミュニケーションが困難
- 業績に対するプレッシャーの大きさ
- 企業文化や価値観の違い
- 転勤や出張の多さ
- 経営方針の変更リスク
多くの外資系企業では高い英語力が求められます。日本人にとって言語の壁は高く、コミュニケーションが取れなければ実力も発揮できません。言語の違いにより、日常的なストレスが増える可能性があります。企業文化や価値観も日系企業とは異なり、自分の成果や意見をはっきり主張する必要があります。
業績重視のためプレッシャーは、日系企業よりもはるかに重いです。外資系企業では、プロジェクト単位の短いスパンで成果が求められます。目標を達成できないと昇進や昇給が遠のくだけでなく、会社を解雇されるリスクもあります。
転勤や出張が多い点にも注意してください。外資系企業では国際的な業務展開がごく普通に行われ、国内外への転勤や出張を命じられるケースも多いです。柔軟な労働環境ばかりに注目すると後悔する可能性があるため注意が必要です。
外資系企業はグローバルな市場での競争が激しく、経営方針が突然変更されるリスクもあります。計画していたキャリアパスによっては転職の可能性も出てくるため、外資系企業では働き方への柔軟な対応が必要です。
外資系企業に向いている人
以下の2点のいずれか、あるいは両方に当てはまる人は、外資系企業に向いています。
- 自分の成果や意見をはっきり主張できる人
- 変化に対応できる人
自分の成果や意見をはっきり主張できる人
自分の成果や意見を明確に主張できる人は、外資系企業向きです。外資系企業では個人の成果や意見が重視されるため、自信をもって自己主張ができる人は評価されやすいです。意見を主張する際は、客観的なデータや証拠を示して説得力をもたせましょう。
セルフプロモーションにおいては、具体的な数値や実績を示すことが重要です。自分の貢献度を明確に説明すると、他者からも理解を得られます。フィードバックを積極的に受け入れる姿勢も大切です。フィードバックを成長の機会と捉えて活用すると、社内での信頼を得られます。
上司や同僚からのアドバイスを素直に受け入れて改善点を次の仕事に活かすと、より高い評価につながります。
変化に対応できる人
外資系企業では、市場やトレンドの変化に対応する柔軟な思考が欠かせません。外資系企業では、新しい技術や業務手順が導入されるケースが多く見られます。変化を恐れない向上心があれば、新しい取り組みに対応できます。市場の変化に敏感であることは、個人ならびに企業の競争力を維持するために必須の能力です。
変化に対応できる人は問題解決能力が高く、外資系企業で重宝されます。次々に起こる問題に迅速に対処し続けると、個人としても企業としても大きく成長できます。外資系企業ではチームで協力しながら仕事に取り組む場面が多いので、臨機応変にチームに合わせられる能力も重要です。
外資系企業では、変化への対応スキルが欠かせません。さまざまな状況に即時対応できる人は、外資系企業で活躍できます。
» 海外で働く方法とメリット・デメリット
まとめ
外資系企業とは外国資本を主とする企業であり、組織文化や働き方、評価制度などが日系企業と大きく異なります。個人の成果が重視されるため、自身の意見を積極的に言える人や、変化に対応できる人にとって快適な就労環境です。
即戦力が求められるため、入社時点で一定のスキルを求められます。すぐに成果を出せない人や、効率良く業務がこなせない人には厳しい環境です。良くも悪くも日系企業とは大きく異なるため、自身に合った就業形態の会社かどうか比較検討してしっかりと見極めましょう。